冬を告げる街

おろしたてのコートを羽織って一息コーヒーを啜る

熱すぎたカップを覆う手はどこか切なげで

乾いた空気に似合わず綺麗な手が語る傷

指先の触れるガラス閉じ込められた君の想い

 

立ち止まった路面は化粧を拒んでいる

遠すぎた距離感合わない靴を履いてるようで

 

ふわりと舞う雪にのった

花びら頬に溶け散った

赤いマフラー白く染まる

あなたがいないと気付いた

目の前にいるのに悟った

つま先の無い感触が少し心地よくて

 

見つけたはずのピースを探して終始暗闇の中

地図に書いたアイコンはまだ奥深くに埋もれている

 

切り取った紙面に書き連ねたこと

常識に囚われた趣旨のない感想文で

 

稀代のことだと気付いた

まだ早いことだと気付いた

鐘の音が街に響く

カラスの声を真似した

拾った飾りを渡した

居場所のない癇癪が少し邪魔なようで

 

教会に響く名無しの歌を

神に捧げ祈るRequiem

 

あなたがいないと気付いた

目の前にいるのに悟った

つま先の無い感触が少し……

 

ふわりと舞う雪にのった

花びら頬に溶け散った

黒いブーツ白く染まる

あなたがいないと気付いた

あなたがいないと笑った

感情のないコーラスが冬を告げる街